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【年頭所感】地面師

■調査会社の意義
講談社から年末に発刊された「地面師」。新聞紙面を散々騒がせた事件ということもあってか、「じつは本の売れ行き、かなり良いんですよ」と関係者のコメント。発売後、早速拝読しました。実に緻密な取材を重ねたもんだ、と感心するばかり。さすがネームバリューのあるライターです。
被害者に対しては「本当にお気の毒」と表現する他ありませんが…、そんな物言いも軽々しくなってしまう被害総額に地面師の悪行ぶり。とにかくこの事件を教訓にし、事件から何かを学ぶことが我々の責務。そして、公になったカラクリを分かりやすく読み解き、多くのビジネスマンに警鐘を鳴らすことこそ調査会社の存在意義であると考えます。1/17に特防協のある支部でお話をさせていただきますが、講演やセミナーを通じ、多くの方にお伝えしていく2019年にしたいと思います。

■「偽造」は見破れない
「偽造された印鑑証明書は見破りようがない……」
この本を読んで、真っ先に思い浮かんだことです。陰影から3Dプリンターを使い印鑑を作成、実際の印鑑証明書と見分けのつかないホログラム、酷似した材質の紙の使用などなど……、ここまでやるか?というほどのきめ細かさ。素人どころか役所や不動産のプロが騙されてしまうのですから。
会社謄本の場合、「架空登記を尤もらしく見せる」のが悪用のキモ。つまり登記情報を「誤認/錯覚/錯誤」へ誘導するのが目的であって、そこに「偽造」という観念がありません。「会社謄本の偽造に遭遇したら……」ということを考えたことが私自身ありませんでしたから、新たな危機管理方法を再考するきっかけにしないといけません。いずれにせよ、基本に忠実な手続きの励行、直前になってのイレギュラー対応は絶対回避、ということが危機管理ということになるのでしょうか。

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