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あぶないお客さま

さっと顔色がかわり、
ワナワナと体を震わせる、
「うわっ、まずい。完全にキレてる…」

「意に添わぬ調査結果が出て、不満を露わにする」
こういうケースはゼロではない。

「頼まなきゃよかった…」
「ちゃんと調査したの?」
しかしどんな結果が出ても、調査報告の捏造はご法度です。

ご依頼にあたり
意に沿わない調査結果が出るケースもご説明・了承いただき、
調査に着手するようにしています。

話し合っても納得を得られなければ
再調査の実施、価格調整
等によって妥協点を見出すこともいたします。

20年以上も前のこと。
依頼者は小さな会社の社長。対象者はその奥方。
家庭内トラブルがあって、別居している

曰く、女性にコレコレの非があり、
話し合いで解決したいが、居所が分からない。
そこで居所を突き止めてほしい。

「夫のDVに耐えかねた女房が身を隠す。」
そんな真相であったようですが、
仕事欲しさにそこまで考えが至らなかった私。

いまなら、そんな相談があった時点で
依頼の背景についてもイメージできますし、
当然お断りしますが、まだまだ浅はかだった。

『申し訳ありません、実は居所が掴めませんでした』

こう報告するや否や、
逆上する依頼者の様子が目に飛び込んできた。
しかし、ここは人通りに面した喫茶店のテラス。

ひとまず落ち着こうとしたのか、
男性はポケットからタバコを取り出して、
ライターの火を何度もカチカチとしていますが…。

吸い口に火をかざしているので、吸えるはずもない。
そして、ひとこと

「お前を殴ってやる。外へ出ろ」

ここに至ってようやく、
(この男、女に手を挙げるタイプなんだ…)
と思いが至りました。

人目がある場所であったことも幸いし
すぐさま席を立ち、事なきを得ましたが、
事前に受領していた調査料金はすぐに返金し、契約解除。

ところが、
ジキルとハイドのごとく怒りが収まれば、くだんの男性、
全く普通の人へと変貌しました。

男性から会社へ電話があり
先ほどの態度の非を詫び、
調査の継続依頼の申し出を受けました。

さすがにこのお申し出は丁重にお断りし、以降の接触は断ちました。

そもそもこんな事態に陥ったのは、私の考えの浅さが原因。
結果的に、依頼者へ情報提供もせず
対象者にご迷惑をかけることなく済み、本当に幸いでした。

相談があったから、仕事になるからと言って
ホイホイ仕事を安請け合いするのは危険だな…。
今でも自分の戒めにしています。

イラストの引用は → こちら

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