「ある人物を尾行してほしい。
勤務先を明らかにして、給与を差し押さえたい」
そんな依頼が舞い込んできたことがあります。
貸した金が返ってこない。
再三にわたる督促にも、無視を決め込む。
あまりに不誠実だ。
よくある依頼背景です。
出社時間を逆算し
自宅を出発するであろう時刻の1時間前から
対象者の自宅周辺で張り込み開始。
予想通りに自宅を出発、
電車を乗り継ぎ、とある会社へと吸い込まれていく。
途中~当該会社までの写真撮影も完璧。
すぐ書類を整え、依頼者へ報告し
仕事は首尾よく終了・・・のはずでした。
ところが、2カ月くらいして
依頼者から問い合わせがくる
「尾行した人、人違いってことない?」
「えっ?まさか」
「給与差押を請求したら、『そんなは社員いない』って回答があった」
キツネにつままれた話です。
第三債務者たる勤務先会社が嘘を云うはずがない。
嘘をついたら、損害賠償モノになりますから。
こちらだって、証拠写真はある。
(おかしい、おかしい。なぜだ・・・)
その後、依頼者が関係者とのやり取りをして
下記の事情が分かりました。
〇勤務先と思われた会社に出入りはしている。
〇対象者は、出入りしている会社の外注先である。
〇その会社の一角でデスクを借り、仕事をしている。
つまり、対象者は自営業者だったというのが真相で
はっきり言って、差押え逃れの方便でした。
この事例に遭遇して以降、
勤務先を明らかにするため、尾行の依頼があったときは
この経験談をケーススタディとしてお話しするようにしています。
最近は非正規雇用労働者、いわゆる「派遣社員」も多いですし
「事務所に入っていった」からと云って
「勤務先が判明しました!」と断定できない時代になりました。
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