成人の日当日、多くの関係者を困惑させたこのレンタル業者。「被害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げます」としか言葉がありません。「はれのひ株式会社」とは、いったいどういう会社だったのか?会社謄本から考察することで、今後このように人の気持ちを踏みにじる騒動が起こらないことへの、一石になればと思います。今回はその1です。
会社謄本から推測すべきポイント
①資本金額は要チェック
②住まいは賃貸か?持ち家か?をチェック。そうして相場をチェック。
③家賃から月収をひねり出してみる。
資本金が150万円
どんなときでも会社を見るときには、まず具体的な数字を導き出さないといけません。
「多店舗展開をして、一時は正社員が40名ほどいた」という「はれのひ」。登記面では平成23年3月創業となっておりますから、数年で大した成長です。本店は福岡市のままですが、平成26年9月には横浜に支店を出し、以降この横浜が実質本店の役割を担っていたようです。注目したいのは資本金の額。この企業規模にしては、150万円の資本金というのは少ない気がします。もちろん準備金も含めて「資本(勘定)」ですから、一概に資本金の多寡で判断するのは早計かもしれません。とにかく一つの判断材料にはなります。
羽振りが良くなったのは間違いない
代表取締役は福岡から平成25年に横浜へ転居してきました。30平方メートルちょっと家賃8万円強のワンルームマンションです。会社謄本(謄本取得代金337円)とネット(これは0円)を組み合わせて検索すれば、すぐわかります。そして2年後の平成27年、再び転居。今度は時価6000万円をこえる高級ファミリーマンションです。不動産謄本を取ってみると(同337円)、本人名義ではないことがわかりました。賃貸物件として借り受けていたようですが、その相場は28万円。抵当権設定額が6000万円、金利1.5%・返済年数35年で計算してみると毎月18万強の返済額になりますので、家賃相場とも合致します。
返済比率をから考えると、ここの社長は月収をいくら取っていたか?
拙著に書いたことがありますが(「会社謄本分析事始」138ページ)、総務省の「家計調査」によると住宅ローンの返済比率が平均で20%強という数字が出ています。それを拡大して解釈すると、住居費に収入の20%があてられていると考えることができます。ということは「はれのひ」の社長は28万円÷20%=140万円の月収(年収ベース1680万円)と推測することが可能です。中小企業の社長ですから、実際にはこれ以上の金銭を得ていたと考えてもよいかもしれません。あくまで推測ですが。「はれのひ」という法人では借り入れがあったでしょうが、個人では住宅ローンを組んだ形跡が謄本上では見られません。一時は預貯金を結構もっていたのではないとか見ることが出来ます。
次回ももうすこし違った角度から、数字を分析していきたいと思います。
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