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【信用調査:晴れ着トラブル「はれのひ」】この会社謄本をどうみるか?②


多くの関係者を困惑させたこのレンタル業者「はれのひ株式会社」。今後こうした騒動が起こらないことへの一石になれば…、の「その2」です。

今回のポイント
①会社謄本と政府統計は相性が良い
②資本金や業種から、平均的なB/SやP/Lを引用できる
③会社の現状と照らし合わせ、その差異の原因を突き詰める

中小企業実態基本調査と組み合わせてみる

この実態調査から、「1.(3)産業別・資本金階級別表(法人企業)」のエクセルデータをダウンロードしてみます。業種別及び資本金別に対応した従業員数が集計されています。要するに、「資本金の額が〇〇〇~〇〇〇万円の規模だと、従業員数は〇〇名が平均である」という見込みをつけられる。これを「はれのひ」に当てはめてみましょう。週刊朝日配信のニュースによれば、「多店舗展開をして正社員も40名ほど抱えた時期もあったという」とのこと。40名の社員がいる会社は、世間ではどれくらいの資本金レベルになるのでしょうか?

40名の従業員がいる会社の資本金なら・・・

下の表を参照ください。前項調査をダウンロードしたものです。従業員割り出しに必要な部分を赤で囲みました。このデータは累計になっていますので、平均値を算出するには母集団企業数で除す必要があるのです。

2018年1月16日はれのひ1

記事にあったように「一時は正社員40名」という規模なら、資本金5千万円~1億円レベルの会社に該当します(52,904÷1,228=43名より)。しかもアルバイト込みの従業員数です。「はれのひ」の資本金150万円という額が平均値よりかなり見劣りするのは、こうした統計からも明らかです。一方、資本金1000万円未満の従業員規模はどうでしょう?同様に算出すると約8名。150万円となれば2,3名というところではないでしょうか。

果して経営者と言えたのだろうか?

40人もの従業員がいた時期もあるのですから、現金収入や金融機関からの支援などでキャッシュフローが良かった時期もあるはずです。しかし、経営者としていつまでも資本金150万円なんかでよかったでしょうか?150万円といえば昔の有限会社です。家内工業のレベルですが。しかし多店舗展開を進めているならば、財務体質を強化するため増資、という手段があってよかったのでは?とも思います。
いずれにしても、こうした新聞記事は騒動が起こってから、漏れ聞こえてくる情報です。ふつうは会社謄本程度しか情報はなく、あとは会社の様子を外から伺うしかありません。「はれのひ」のケースでは「資本金150万円」だけが、有力な手掛かり。このデータをもとにあちこちの統計と照合しにらめっこし、実態と平均とが釣り合っているのか? もしアンバランスなら、その理由はなにか?を突き詰めていことが、唯一私たちにできる与信管理ではないでしょうか?

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