多くの関係者を困惑させたこのレンタル業者「はれのひ株式会社」。今後こうした騒動が起こらないことへの一石になれば…、の「その3」です。
今回のポイント(資本金)
①資本金額によって「この会社、ヘンじゃないか?」の見込みをつけられる
②1000万円と1億円が基準になりえる
最低資本金制度を思い出してみると・・・
以前、商法に「最低資本金制度」という項目がありました。株式会社なら1000万円以上、有限会社なら300万円以上の資本金にしなさいという法律です。現在は撤廃されましたが、この金額に根拠や有識者の論議があって決められたはず。個人的見解ですが「1000万円くらいの元手がなければ、株式会社としての体裁をなさないよ」と読めるのではないでしょうか?家族経営向きとされた「有限会社」にしても300万円。最低資本金の規定がなかったのは「合名会社」「合資会社」くらいです。
「はれのひ」は150万円が資本金額。旧商法に当てはめれば、有限会社にもなりえません。とはいえあえて増資しなかった理由があるのでしょう。顧問の税理士だっていたはず。しかし対外的に見栄えが悪いのは事実。一時6つのも7つも店舗があったのに、資本金が150万円というのはアンバランスです。
資本金は大きければ大きいほどいいのか?
話題は変わりますが、ハナから人をだます目的で、虚偽架空の企画をぶち上げ多くの人に被害をもたらした「グルメンピック事件」。この事件の渦中にあった会社の資本金額が、実は1億1200万円もありました。
昨年セミナーを開催した際、税理士の方から、「非常にお得じゃない資本金ですね」と指摘を受けました。なぜかと問うと「だって1億超えたら、接待飲食費の損金算入ができませんから」(当時)。たしかにその通りです。つまり「グルメンピック」の場合、会社の実態などそもそもゼロで、「資本金額の大きい休眠会社を細工してしまえ!」という発想のみだったでしょう。だれでも資本金額が億を超えた会社謄本を見れば、「おお~」となりますが、見る人が見ればやはりアンバランスです。
違和感を違和感のままで終わらせない
10年ほど前、札幌で「傷病手当詐取事件」がありました。うつ病と偽り医者に診断書を書いてもらい、社会保険事務所に提出・傷病手当を騙し取る。これに味をしめて、遠隔地の詐病演技者を集めその自宅を「支店登記」、結局5000万円を超える損害を与えたという事件です。
ふつう「支店登記」をするなら、「本店」はそれなりの規模の会社であるはずなのに、組織形態は「合名会社」。バランスが取れているというのは実は会社謄本から与信判断をする際の、大切なポイントなのです。
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