「経歴詐称」を明らかにした事例
大手調査会社の代表者ページに、次のようなプロフィールが記載されていました。
①関西の有名私大卒
②稼業(食品卸)の商売に従事
③機械部品を取り扱う商事会社の営業職
④ZZZ社に入社、専務取締役に。在籍は9年間。
⑤P社設立、取締役社長就任
⑥Q社設立、代表取締役就任
ある人が、「この経歴は到底信じられない」との感触を持ったため、弊社へ調査依頼がありました。
そこで弊社は、ZZZ社の会社謄本を取って、その代表取締役に経歴確認の協力を仰ぎ、次の6点が判明。
(1)①はない。別の私大を中退。
(2)②は誤り。正しくは居酒屋の経営。
(3)居酒屋は負債を抱え廃業。しかも負債を他人に押し付けるような格好に。
(4)③商事会社の営業職ではなく、居酒屋チェーンのアドバイザー
(5)④ZZZ社の在職は1年程度。在籍年数大幅改竄。
(6)ZZZ社は使い込みによる解雇。
詐称された経歴が、なぜ報告書に記載されたのか?
次のような理由で、経歴詐称のプロフィールが出来上がってしまうのだと考えます。
〇1 経営者が大手調査会社へあからさまな「ウソ」をいうことは、考えられないことである。なぜなら、そうしたウソ・デッチアゲが巡り巡って自分の信用を貶めるのは、商売の常識であるから。通常は、ヒアリングした経歴をそのまま報告書に掲載しても何ら不都合が起こるはずがない。
〇2 「詐欺まがいな商法」に手を染めている代表者は、「ウソ」をつくことをいとわない。反商道徳な考えに立っているためである。たとえ、登記上は会社の代表者といえども、経営者とはいえない。
〇3 「経歴」の裏を取るのには、手間とコストがかかる。大手調査会社の料金体系で、そこまで時間をかけられない(しかし、膨大な情報ストックがあるので自社内の過去データと齟齬があれば、修正が働くことがあります)。
〇4 大手調査会社の信用調査は、「会社の支払い能力があるか?」が力点である。代表者経歴は重要ポイントではある一方、多くある項目の一つにすぎない。
会社を性善説で見るか、性悪説か?の違いが、大手調査会社と弊社のちがい
商売はすなわち、信用問題です。1から10まですべてを疑っていたら、キリがありません。そういう点で、大手調査会社の調査報告書は素晴らしい機能を持っています。しかし、商売の規模が大きくなったり、与信期間が長くなるなどの状況では、取引先を「性悪説」で見るべき場面も増えてくるのではないでしょうか?
「貸倒引当」という制度が設けられているように、ビジネスはどんなときもうまく機能するとは限りません。その背景に「反道徳」「反社会」という残念な要素が絡んでくることもあるでしょう。そういった目を予め摘んでおくために、大手調査会社と弊社を使い分け、リスクをできるだけヘッジするということが大切です。
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